学科案内



 材料は、有機・無機・金属材料に分けられるが、現在はこの枠を超えて目覚ましく発展している。相反する性質を実現する複合材料を始め、電子材料(誘導体、半導体、磁性体、超伝導体など)、バイオマテリアル(人工骨、人工臓器、医療材料など)、傾斜機能材料(耐熱材料、熱電素子など)など、さらに、材料自ら状況を判断して機能するインテリジェントマテリアル(セラミックスヒーター、形状記憶マテリアルなど)、今までにない構造を持った材料の開発(人工格子、超微粒子、クラスター、アモルファスなど)など新しい分野も生まれつつある。
 材料の研究や開発の魅力は、物質の本質を究極まで追求し、今までにない優れた性質を持つ材料を作り出すところにある。材料工学は、理学的な基礎から工学的な応用まで幅広い総合的な学問である。材料の構造や組織を原子配列のオーダーから理解することにより材料の性質の発現機構を明らかにし、新たな材料の設計を目指している。こうして、我々は種々の新しい性質・機能を持った材料を設計・開発・生産できるようになった。その背景には科学技術や産業の発展があり、様々な用途や性能を持った新しい材料の要求が新素材を生み出す原動力となっている。
 材料工学科は、有機材料、無機材料、金属材料の3コースから成る大規模な学科である。本学は、平成6年度から4年間一貫教育がスタートし、1年次から各材料の概論があり、2年次からは専門に分かれて学ぶ。また、各種材料に対応できるようにコースを越えた履修科目がある。3年次には学生実験があり、専門の研究への導入の役割をはたしている。4年次には、研究室に所属し、大学の大きな使命の一つである研究に励むことになる。卒業研究において総合的な知識と積極的な探求心を身につけ、材料研究者・科学者として巣立っていく。材料工学科では、多様性と創造性豊かな人材育成を目指している。

【有機材料コース】

 有機材料は、主に高分子物質によって構成されている。高分子物質は文字どおり高い分子量の物質であり、そのため種々の高性能・高機能性が発現している。多くの高分子材料関連の新素材がすでに人工臓器やバイオセンサー、液晶、高分子分離膜、光ファイバー、先端複合材料などに使われている。
 本コースでは、高分子材料開発に重要な高分子の合成・構造解析・固体物性・成形加工の教育と研究を一貫して推進しているが、産業界からも本コースにきわめて熱い期待が寄せられている。

【無機材料コース】

 本コースは、セラミックスを研究する日本でも数少ないユニークな存在であり、日本のセラミックス産業の中心地に位置し、重要な役割を担っている。
 無機材料は、ガラス・セメント・耐火物という従来のカテゴリーを越えて目覚ましい発展を遂げている。セラミックスエンジンを目指す高強度構造材料、セメントクリンカーの微構造と製造過程、高温超伝導体、プロトン導電性ガラス、バイオセラミックス、磁性薄膜、電子材料、複合高温材料など多岐にわたる研究を展開し、基礎から先端までの教育を担っている。

【金属材料コース】

 金属材料は、構造材料として役割の他に、形状記憶合金のような機能性材料として、各種電子材料の主役などとして、重要な役割を果たしている。また、これからの、産業界における高機能化、小型化の時代においては欠くべからざる材料である。
 本コースでは、固体材料全般を対象とする学問体系である材料科学を重視した教育を進めている。材料科学は、物理学や化学を基礎として材料の特性を理解しようとするものであって、その習得によりいかなる種類の材料をも取り扱える力を養う。コースでの研究分野も、水素吸蔵合金、非晶質金属、高温超伝導体、センサー等広い範囲におよんでいる。


Since 2000.04.09